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佐賀法人会が16年前から協力

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旅客の心をつなぐ佐賀駅の「旅の図書館」
佐賀法人会が16年前から協力

佐賀法人会[ 社会貢献]

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 JR九州長崎本線の佐賀駅構内に、「旅の図書館」と呼ばれる小さな図書コーナーがある。通勤通学客や旅行客に、無料で本を貸し出し、旅のつれづれを慰める全国でも珍しい図書館だ。この図書館の運営に、佐賀法人会(佐賀)が16年前から協力している。

 図書コーナーは、佐賀駅改札口の正面。長崎、唐津行きホームに上る階段わきにある。木製の本箱には常時、百冊程度の小説やビジネス関係の本が並べられている。上部に、「旅の図書館」の看板。その下に「この図書館は佐賀法人会と一般の方のご協力により、運営されています。旅の行き来の『友』として、どうぞ自由に利用してください。また、読み終わったら本棚にお返しください」の張り紙が張られている。
 「旅の図書館」は、もとは、1987年に旧国鉄の分割民営化でJR九州が誕生した際に生まれた乗客向けの新しいサービスで、旧国鉄時代の職員用巡回図書を、駅乗客に開放して読んでもらおうとしたのが始まりだった。
 しかし、始まって10年。借りたまま戻ってこない本もあり、数は減少。補充も追い付かず、本箱には10冊程度という状態が続いていた。  この状況を見た佐賀法人会の女性部会員が、97年(平成9年)の女性部会役員会で、「法人会の新しい社会貢献事業として、古本を集めて寄付したらどうか。駅だけでなく利用者にも喜ばれる」と提案した。
 早速、同年10月、古本を会員が持ち寄り、530冊を同駅に贈った。
 それから16年間。毎年1千冊前後の古本を集め、寄贈する。昨年末までの合計冊数は1万4550冊。古本はふだん、法人会事務局に保管し、月に1、2回、駅側から「本の数が減ってきました」と電話がかかってくると、事務局員が「旅の図書館」の本棚に図書を補充する。
 電車を待つ乗客が、気に入った本を見つけると借り出し、読み終わるとそっと本箱に戻す。貸出、返却の記録もない。信頼に支えられた図書館だ。
 図書の貸し出しは朝夕のラッシュ時に集中する。利用者は決して多くはないが、「旅の図書館」の存在は乗客の心に深い印象を残している。
 ネットのブログにも登場する。「出張時に佐賀駅構内で『佐賀法人会 旅の図書館』を見つけた。 偶然に出会った1冊の本が本や人との絆をつなぐ。自分が読んだいい本を共有するという気持。『これ読んでみたらいいよ』という気持。それ以上でも、以下でもないが、なぜかすごく大切なような気がします」という書きこみがあった。
 別のブログには、「先日、知り合いが、『佐賀に素晴らしい図書館があるよ』と教えてくれた。『旅の図書館』を見て本当に感動しました。知り合いは他県の人で、『普通で考えたら、こんなことは考えられない。本は戻ってこないだろう。なのに、本の貸し借りが続き、維持されている。それができる佐賀の環境が素晴らしい』。私は佐賀の新たな良さを発見し、うれしくなりました」という県民の書き込みもあった。
 同駅の辻辰也助役も「佐賀法人会があってこそ、できた乗客サービス」と感謝する。
 当初は会員頼みだった本集めも、最近では、「いつも利用させてもらっています。この本も使ってください」といって、法人会に直接、古本を持ち込む人も増えてきた。昨年には、兵庫県明石市の人から、「佐賀観光の際に利用させてもらいました。お礼です」といって、段ボール箱に詰めた51冊の古本が送られてきた。
 『旅の図書館』は、旅行客の心の絆を確実に広げている。
(2013)

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