各 論
第一 法人税制について
1.法人税の税率の引き下げ
わが国の法人税の実効税率はアメリカ並みの40.69%となっている。しかし最近、自国企業の国際競争力強化あるいは外国資本の誘致等の目的から税制を優遇している国が多い。現実に、近年、欧州・アジア諸国で法人税率の引き下げが行われている。特にイギリス、ドイツ等では実効税率が20%台にまで引き下げられている。
日本企業の国際競争力強化や国内産業の空洞化防止、さらには外国資本の国内への投資促進の観点から、法人税の基本税率について地方税を含め、大幅な引き下げが必要である。その際、租税特別措置の整理・合理化等で課税ベースを広げ、地方税を含めて、欧州・アジア主要国並みの実効税率とするよう求める。
2.中小企業軽減税率の引き下げ
平成21年度税制改正で、中小企業等に適用される法人税の軽減税率が2年間の措置として22%から18%に引き下げられた。しかし、現在の厳しい経営環境や中小企業の担税力を考えると、中小企業に適用される軽減税率は2年間の時限措置ではなく恒久化するとともに、さらに一層の税率引き下げが必要である。また、昭和56年以来、課税所得800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用課税所得金額を少なくとも1,500万円程度へ引き上げるよう求める。
3.特殊支配同族会社に対する役員給与の損金算入制限
この制度は、新会社法施行に伴う課税逃れの防止策として設けられ、平成19年度税制改正で適用除外となる基準所得金額が800万円から1,600万円に引き上げられる緩和措置がとられた。しかし、この課税制度は中小企業に多大な影響を及ぼすだけではなく、その内容について、法人税・所得税という税制の根幹に関わる問題に抵触しており、制度そのものが合理性を欠いている。要件操作によって課税対象から外れることが可能であり、中小企業の間で新たな課税の不公平を生んでいる。申告手続きも複雑で、企業に負担と混乱をもたらしている。以上のような理由からこの制度については、即刻廃止を求める。
4.役員給与
最近、会社法改正、企業会計の変更等に伴い、税制面でも役員給与の取り扱いが大幅に変わり、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与以外は損金不算入とする改正が行われた。しかし、利益連動給与について、同族会社は適用対象外となっている。経営意欲、企業活力を発揮させるため、同族会社についても一定の要件の下で、同様の措置を認めるべきである。
5.交際費課税制度
平成18年度税制改正で、一人当たり5,000円以下の飲食費については交際費から除外された。また、資本金1億円以下の中小企業に認められる特例も引き続き存続している。交際費課税における創設当時(昭和29年)の資本蓄積を図るという政策目標は消失している。2009年の追加経済対策で、中小企業に対する交際費の損金算入限度額が400万円から600万円に引き上げられたが、不充分である。そこで、損金算入限度額の更なる引き上げ、損金不算入割合の撤廃、資本金の規模に関わらず一定の損金算入を求める。
6.同族会社の留保金課税
平成19年度税制改正で、中小企業における同族会社の留保金課税は実質的に撤廃された。しかし、特定同族会社に対する留保金課税は存続しており、引き続き廃止を求める。
7.電子申告
国税庁が2004年から運用を開始した国税電子申告(e-Tax)は、2009年3月末現在の利用率が36%にとどまっている。平成21年度税制改正では、所得税額控除制度の2年延長、所得税の確定申告時に税務署への提出を省略できる書類の拡充などの措置がとられた。さらに一層の利用促進を図るため、地方税の電子申告との一体化の検討、法人・個人に対する恒久的な税額控除制度の創設など利用促進に向けての努力が必要である。
8.その他
租税特別措置については、政策目的を果たしたものは廃止する一方、中小企業の技術革新など経済活性化に役立つ措置の新設を求める。
配当に対する二重課税については、現行の配当控除制度では不充分であり、欧州各国の制度(インピュテーション方式)を参考に二重課税の排除を求める。