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舞、謡を5か月間実地に稽古

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小学生が授業で能楽を学習
舞、謡を5か月間実地に稽古

府中法人会女性部会[ 社会貢献]

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 府中法人会(広島)女性部会は、府中市教育委員会と協力して、5年前から市内の小学6年生を対象に能楽体験教室を行っている。
 同法人会がカバーする広島県南東部の府中市と福山市(一部)、神石高原町の2市1町は、徳川幕府の有力大名である福山10万石の藩地だった。このうち、奈良時代に国府が置かれていたともいわれる府中市は、江戸時代には、石見銀山に続く石州街道出口通りの要地で、通りの両側にはびっしりと商家が軒を並べた。また、福山市は中国筋の有力外様大名を監視する「西国鎮衛」の城下町として繁栄し、幕末には藩主の阿部正弘が老中首座として、開国の道筋を作ったことでも有名だ。
 女性部会と能楽教室との接点は08年。府中市教育委員会から、「福山藩に伝わる能楽を小学生が観賞する場を持ちたい」と相談があった。福山藩には喜多流能楽が伝承され、江戸初期には武家の間で、中後期には町人の間でも流行し、盛んに演じられていた。
 同法人会女性部会は申し出を受け、社会貢献事業として、同年6月、喜多流能楽を伝える大島能楽堂から能楽師ら5人を招き体験学習会を行った。  参加したのは市内の小学生60人。初めて鼓にさわり、扇を持って謡い、すり足で舞う。1日だけの体験授業だったが、父兄から、「伝統文化を伝える素晴らしい事業」と評判となった。
 この声に押され、翌09年度から事業を拡大。観賞だけではなく、市教委に頼んで毎年小学校1校を推薦してもらい、6年生が実際に能楽の舞や謡を学習し、本物の能舞台で実演する能楽体験授業を行うことになった。

【昨年は栗生小】
 昨年の実施校は、府中市立栗生小(府中市栗柄町)。6月から5か月間、6年生23人が総合学習の時間を使い、合計10回の体験授業を行った。大島能楽堂で能楽を教える大島紀恵さん、加藤千絵さんの2人の指導を受け、稽古は毎回2時間。体育館の板敷に正座し、鼓を打ち、横笛を吹く。舞の基本のすり足を習い、謡の稽古に励んだ。休み時間にテープを流し、廊下で練習を繰り返した。
 女性部会員の中には大島能楽堂に通い、能楽を習う会員もいて、補助役として稽古に立ち会った。さらに、夏休みには、バスをチャーターして児童たちを福山市内の大島能楽堂に引率、本物の能舞台での練習も行った。
 昨年10月28日、同市内の小中高校の連合学芸会である「学びフェスタ」で、児童たちは着物を着て袴をつけ、約15分間のプログラム「猩々」を父兄や市民の前で演じた。この時も、女性部会員は総がかりで、児童たちの着付けを手伝った。

【市民から大きな支持】
 4年間の実施は4校(176人)。父兄からは「日本の文化を継承する子供たちの体験に感激した」「能をはじめて姿勢がよくなり、落ち着きも出た」「事業を行う法人会の活動に感謝する」「うちの子どもが通う学校でも能楽教室を行ってほしい」などの意見が寄せられている。  栗生小は発表会後、地元文化祭に呼ばれ、住民の前で成果を再披露した。自前の費用で能楽教室を始めた学校も出るなど、伝承の輪は広がっている。
(2013)

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